≪大雅side≫


息をするのがやっとなほどの苦しさ。

結衣が誰かと電話している様子だけど…俺は何も出来ずにいた。


電話をしながら、結衣が応急処置としてたくさん動いてくれ、なんとかやり過ごし、気付けば俺は病院にいた。



琉「大丈夫か?大雅。」

結「大雅兄…良かった。」

俺をみて泣いている結衣といつも通り冷静に俺をみている琉兄がいた。


大「なんで…結衣泣いて…」

結「だって…心配だったんだもん。」

と言って俺を見ながら泣いている結衣。

心配…かけちまったんだな。

その時俺は少し反省した。



すると琉兄はそんな俺を見て口を挟んだ。

琉「大雅。お前は結衣の心配をする前にお前自身も無茶をしたら危ない身体だって事を自覚しろ。」

大「わりぃ。」



結「心配?無茶?」

琉「大雅はお前を心配するあまり何日も寝ていなかったんだ。」

大「それを…言うなよ……。」

結「え?」


俺が弱々しくも嫌な顔をしていると太陽くんが入ってきた。


太「そうだよ〜大雅だって思春期の男の子なんだから。蛇足な発言だよ。」

琉「でも…」

太「はいはい。ここは若い2人に任せて、俺らは一旦離席しよう。じゃあ結衣ちゃん!大雅の点滴終わったら呼んでね〜!」


そう言って太陽くんは処置室を出ていった。

いつもはKYなくせに人のことはよく気付く。

それが太陽君だ。


だからこそ嫌いになれない。




2人が出て行くのを確認すると結衣は座っていた椅子から立ち上がり俺に深々と頭を下げた。


結「ごめんなさい!!」

大「え?だから…琉兄が言ってたことは別にお前のせいとかじゃなくて…。」

結「放っておけって言われたのに…私放っておかなかったから…。」

……あぁ。そっちか。

俺…あの時必死すぎてあんまり覚えてねぇ…。

でも……


大「ありが…と。助かったよ。お前のおかげで。」

俺はそう言った。

むしろここまでしてもらって怒るとでも思ったのか、こいつは。

本当バカで間抜けで…お節介なやつ。


結「良かった…本気で怒られたら…私…きっと再起不能になってたから。」 

と困ったような笑顔で言う結衣。


大「ったく…なんだよ。再起不能って。」


思わず俺は笑った。

そんな俺をみて不思議そうな顔をしながら結衣も一緒になって笑っていた。



本当にコイツの笑顔は調子狂う。


どんどん結衣のペースに巻き込まれて行く。


そんな自分がいた。