≪琉生side≫


仕事中突然結衣から電話がかかってきた。

結衣自身からかかってくることはあまりないから少し驚いた。


すぐに出ると結衣はかなり取り乱している様子。

診察室でカルテをまとめていた俺は隣の太陽にも聞こえるようにスピーカーにした。


太「結衣ちゃんどうした??落ち着いてゆっくり話そうか。まず、大雅は今話せそう?」

結『熱が…ものすごく高くて…。咳がすごく出てて…とても苦しそうで…。』


この言い方からして、大雅は今話せる状況ではないと俺らは判断した。

背後から大雅の咳き込む声や喘鳴までもがハッキリとこちらまで聞こえる。

そしてこれほどまで結衣が焦っていると言うことは発作が出て大雅が非常に危険な状況かもしれない、と言う事が分かった。


太『分かった。俺は救急車手配する。』

そう言って太陽はすぐに救急車を向かわせてくれた。

琉『いいか、結衣。救急車が来るまでの間、俺の言う通りに動いてくれ。まず……』


俺は結衣にも分かりやすいように指示を出した。

今の状況を考えると救急車をただ待っているより結衣に動かせた方が結衣の気持ち的にも大雅のためにも良いと判断した。

なんかあっても分かりやすいように大雅の小さい頃から吸入器や必要なものがしまってある場所は変わっていない。

だから俺ら兄弟なら多分誰でも対応は出来る。

でも結衣は違う。

まだうちに来て大雅の部屋に何があるかもどうすればいいのかもなんの判断も出来ない。


救急車を呼んだからと言って簡単に電話を切ってしまえばきっと待っている間パニックになるだろう。

そして大雅もどんどん悪化するようならとても危険な状況だ。


俺は大雅を出迎える準備をしつつ、電話で対応をしていた。