≪大雅side≫



大「結衣お待たせ~って…寝てるし。」


でも消毒しないといけねぇから寝ててよかった。

起きてたら泣き止んだばかりなのにまた泣かしちまいそうだ。



頬には涙の跡。

そして傷だらけの足。


大「ったく…どこまで必死なんだよ。言ってくれりゃ俺が買いに行くのに。笑っていて欲しいんだよ。お前だけには。」


そんな事を呟きながら消毒をして絆創膏を貼った。


それにしても……少し呼吸辛そうだな。

きっと俺が怒ってるんだと思ってたくさん走ったんだろう。


無茶しやがって。


って…無茶させたのは俺か。


大「ごめんな。」

俺がそう言っても結衣はスヤスヤと眠っていた。








それから数日が経ったある日。


結「よーし!今日こそ花火するぞー!」

太「聴診してみて大丈夫そうだったらね。」

結「えぇ!!」

大「結衣。焦らなくても夏休みは長いから。」

結「そんな事ない!時間は有限だよ!!」

太「こら。そんなことばっかり言ってると花火やらせてあげないよ!」

結「ごめんなさい…。」

そんな会話がありながらも…

太陽くんが結衣の様子を見て大丈夫だと判断し、花火ができることになった。


ただし。煙が少ないとはいえ0ではないからマスクは必須で。



そして…段々と外が薄暗くなってきた頃、俺ら兄妹と太陽くんの6人で庭に出て花火をした。


琉「何年振りだろうな。庭でみんなで花火するの。」

秀「んー大雅が小学校低学年くらいの時だったから…10年以上かな?」

瑛「てか…なんで俺まで…」

太「まぁまぁ…。楽しもうぜ!」

大「結衣…楽しいか!」

結「うん!とっても綺麗!!みんな…ありがとう!!」

結衣が楽しそうにそう言うとみんなは微笑んでいた。


もし、結衣がこの家に来なければこうやって同じ場所で兄弟が揃う事もなかっただろう。
ましてやみんなで花火をすることも。


兄弟同士が仲良くいられるのは結衣のおかげなのかもしれねぇな。


結衣は本当に不思議なやつだ。






それから花火が終えるとみんなで結衣の部屋へと行った。


琉「たしかこの部屋の天井に……ほら。空いた。」

大「ええ!!うちって屋根裏部屋とかあったの!?」

琉「知らなかったのかよ。大雅が喘息持ちで花火大会行けないから親父が後からつけた部屋だ。」

結「えぇ…すごい…。」

琉「結構埃っぽいな。ここ、空いてる時に掃除するから…花火、友達呼んでここから見るといいよ。」

琉兄がそう言った瞬間パァと明るくなった結衣の顔。



その瞬間、結衣が喜んでくれる嬉しさと、またしても結衣が離れていくような寂しさを感じた俺だった。