≪琉生side≫




その日の夜。

夜勤だった俺は太陽と2人で話していた。



太「結衣ちゃん大変だったね。いいの?そばにいてあげなくて。」

琉「家には秀や瑛斗も居るからな。お前は仕事終わったならさっさと帰れ。」

今日は仕事は終わっている太陽を早く帰るように促す俺。



太「冷たいなぁ…。そんなに冷たくしてると本当に結衣ちゃん家出て行っちゃうよ?」

琉「結衣がそうしたいなら…そうすればいいだろ。」


太「そうかな~?結衣ちゃん…1人で暮らしたら誰も頼らずに1人で倒れて誰にも気付かれずに…って事もあるかもよ?」

とボソリと言い出す太陽。


琉「そんな縁起でもない…。」


いや…。たしかに太陽の言う通りだ。


結衣ならご飯は明日でいいや~なんて考えて栄養失調になったり…

喘息が出ても1人で我慢しようとしてそのまま気を失ってしまうとか…


あり得る!!!


ガリガリでボロボロになってしまう結衣が目に浮かぶ……

ただでさえガリガリなのに…

もしそんなことになったら…。



俺がそう考えていると太陽がニヤリと笑った。

琉「な、なんだよ。」

太「思ってること全部口に出てたけど?」

琉「え…。」

俺は慌てて口を押さえた。



太「なーんちゃって!!からかい甲斐があるなぁ、琉生は!」


チッ…なんなんだよ、こいつは。


琉「早く帰れ!!」


俺がそう言うとさっきまでのふざけてる笑顔とは違い真面目な顔になってこう言ってきた。


太「でも真面目な話。お前はあの日の時点で未結ちゃんが助かっていたけど重傷だったとして…本当に何も気に病まないのか?自分なんて一緒にいる価値がないと思わないのか?」

琉「……。」

太「ま、そーゆー事だ!夜勤代わって欲しかったら代わるよ?」

琉「必要ない。」

太「意固地だなぁ。じゃあ俺本当に帰っちゃうからね!」



そう言うと太陽は帰っていった。

余計なお世話だっつの。



でも…一応様子だけでも後で榊に聞いてみるかな。










次の日。

仕事が終わった俺は急いで帰宅した。

今日は土曜日。




琉「ただいま。」

榊「おかえりなさいませ。」

琉「結衣は?」

榊「今朝早く瑛斗様とお2人で大雅様のお見舞いに行かれました。」


見舞い!?

……なんだ。すれ違いかよ。

それならもっとゆっくり帰って来れば良かった…。

そう後悔していると


榊「皆さん……似ていらっしゃいますね。」

琉「俺らがか?」

榊「…はい。皆さんお互いに心配し合っている。私にはそう見えます。」


……たしかにそうかもしれない。

でも…。

琉「心配するなんて…家族だったら普通なんじゃねぇの?」

榊「そう……でございますね。」

琉「はぁー…結衣いねーんじゃそのまま風呂入って寝るかぁ…。結衣帰ってきたら起こしてくれ。」


榊「承知しました。」



俺は少し寝ることにした。

あとでちゃんと結衣と話さねーとな。