≪結衣side≫




大雅兄はずっと起きていない。

ずっと眠り続けているままだ。


私は毎日ベッドから起き上がり大雅兄の眠るベッドサイドの椅子に座り続けた。


大雅兄に助けられたはずなのに…体のあちこちが痛い。


直撃だった大雅兄はどれだけ痛かったんだろう。


どれだけ苦しかっただろう。


そんな事ばかり考えていた。




涙が枯れるほど泣いて…

泣きすぎてもう涙も出てこない。




ずっと大雅兄の横から動かないでいると太陽さんと琉生お兄ちゃんがやってきた。


太「結衣ちゃん…。結衣ちゃんも怪我がまだ治ってないんだから…自分のベッドに戻ろう。」

結「やだ。離してっ」

私を戻るよう言う太陽さんの声にもいつものような覇気はない。


琉「結衣。いい加減にしろ。」

弱々しくも私にそう言う琉生お兄ちゃん。

でも私はそれでも大雅兄のそばを離れたくなかった。



結「やだっ!!」


私がいけなかった。


私があの時男の子を助けていなかったら…

大雅兄は助かったかもしれない。


それなのに…なんて取り返しのつかない事をしてしまったんだろう…。


大雅兄じゃなくて私が死ねば良かったんだ…。





私は自暴自棄になっていた。




食事が喉を通らないとはまさにこの事。


私の体はどんどんと弱っていくのを感じた。



お願い。大雅兄。

戻ってきて…。


一緒にパンケーキ食べるんじゃないの?


バトミントンしてくれるんじゃないの?


手加減しないって言ってたじゃん。


なんで……


なんでずっと眠ってるの?


 

私は大雅兄の傷だらけの手をギュッと握った。


秀「結衣ちゃん…。」


そんな私のことをみんなが見ていた。



でもそんなの何も関係なくて…



私はただただ大雅兄のそばを離れずにいた。