≪太陽side≫






太「大雅っ!!!」

吹き飛ばされた大雅の体。

尾行していた俺も慌てて飛び出した。



息はしている。

結「大雅兄っ…大雅兄っ」

太「結衣ちゃんも怪我をしている。動かないで。」

同じく頭から血を流している結衣ちゃんに動かないように命じる俺。


そしてすぐ側には目を丸くして突っ立っている琉生。



太「琉生!しっかりしろ!大雅死ぬぞ!?」

琉「……。」

太「琉生!!大雅も未結ちゃんみたいに失ってもいいのか!!」

俺がそう言うと琉生はハッとしたようだった。




太「救急車呼べ!はやくっ!!」

琉「分かった。」


出血がひどい。

しかも強く頭を打っている。

しっかりしてくれよ大雅っ……




そんな俺らの姿を見て大泣きしている飛び出した小学生の男の子。

泣くのはお前じゃねぇだろ。

腹が立ってしょうがなかった。


が…そんな男の子に構ってる暇はねぇ。


俺が手を止めたら終わりだ。



なんでこうなっちゃうんだよ。

大雅は何も悪い事してねぇじゃねぇか。

まだ未来がある大雅。

ぶっきらぼうだが優しくて本当に人想いの大雅。

なんでだよ……。


俺はこんな不公平な世の中にイライラしてしょうがなかった。





それからすぐに到着した救急車。



大雅と結衣ちゃんを乗せ、俺と琉生も同行した。










病院に着くとすぐに処置が行われたが。


「最善は尽くしたが…頭を強く打っている。目を覚ますかどうか……分からない。」

担当の医師から言われたのはその一言だった。



脳外科は俺たちの専門外。

ただ祈ることしか出来ない。



なんで……。


自分の弟のように可愛がっていた大雅。


人懐っこくて、たまに生意気だけど…


それでも可愛かった。



家族のように大事だった。




大雅は…結衣ちゃんと2人で出掛けようとしていただけ。

それだけなのに。



なんで……。



俺の思考は完全に停止していた。