≪結衣side≫



それから私たちは必要なものを全て買って約束の観覧車!!






結「わー!すごーい!!たかい!!観覧車ってこんな高くまで上がるんだ!」


大「乗ったことねぇみたいな言い方だな。」


結「ないよ。お父さんが私が小さい時に亡くなってそれからお母さんお仕事ずっと頑張ってたから。」


そう。

ずっと仕事が忙しそうだったお母さん。


遊園地に行きたいなんて言えるわけがない。


だから私も必死になってここまで頑張ってきた。



私には無縁の乗り物だと思ってたから。




大「初めて…か。ならさ…」


結「ん??」


そう言いかけた大雅兄は立ち上がり私の正面から隣へと移動した。


ぐらりと一瞬だけ揺れる観覧車はもうすぐ頂上。


大雅兄は頂上のあたりに来たのを確認すると、私の頬に軽く手を当てて……

優しく私のおでこにキスをした。


結「え……っ!?」











結「大雅兄……っ」


大「観覧車のてっぺんで口付けを交わしたカップルは一生結ばれるって知ってっか?口じゃねぇけど。」


結「え……?だ、ダメだよ。大雅兄!!私みたいなこんなどこの骨かも分からない人と……」

大「お前はお前だろ。」


結「うん。そうだけど…でもっ」


大「俺さ、お前のこと嫌いだった。お前にとっては聞きたくない話だったかも知れねぇけど。」


結「そんな事ないよ。」

大「ごめん。色々こまらせて。」


結「私もみんなのこと本当に大好きだよ!!」


大「みんな…か。」


そう呟いていたのには私は気づかなかった。


だってお母さん毎日辛い。もう嫌だって言ってた。

それなのに今の楽しそうなお母さんを見る事ができるのはこの人たちのお父さんのおかげだ。



今だって私幸せだもん。


そんな事を考えていると私は涙が止まらなくなった。



結「ありがとう…本当に……」


大「なんで……ごめん。キスがそんなに嫌だったか。ごめん。勝手に。」


結「違う…違うの…。みんなには本当に感謝しかないの。ありがとう。」


大「俺は今はお前のことが気になってしょうがない。」



結「本当に……ありがとう。」


優しくしてくれて。そして家族として迎え入れてくれて。



そう言って私は泣き続けた。



大雅兄はずっと困っている様子だった。


でも私にはその空間がとてつもなく幸せで…どうしようもなかった。