≪太陽side≫




あれからどんだけ冷やしてみてもなかなか下がらない結衣ちゃんの熱。

とても辛そうに呼吸をする結衣ちゃんをただ見守ることしか出来なかった。







とりあえず少し落ち着いた結衣ちゃんを個室の部屋へと移動させた。


それからしばらく見守っていると目を覚ました結衣ちゃん。


結「……っ」

太「結衣ちゃん。目覚めたみたいだね。具合どう?」

結「気持ち…悪い……」

そう言って口をおさける結衣ちゃん。



太「えっ吐きそう!?ここに吐いちゃっていいよ。」

俺は急いでうがい用の容器を手渡し結衣ちゃんの背中をさすった。



辛そうにしている結衣ちゃん。

結「ゲホゲホッ……」

太「辛いね。大丈夫…全部出し切っちゃっていいよ。」



誰かが吐く姿なんて仕事上見慣れている。

俺はそっと結衣ちゃんの背中をさすり続けた。


結衣ちゃんの少し痩けた表情をみてなんとなく最近食欲も無くなっているのは分かってはいた。

通常何も食べていない人は胃液が出ておしまいだ。

でも結衣ちゃんの場合は違った。



……吐血!?

ストレスから体調を崩すのは分かっていたがまさか…。


太「吐ききったかな。少し口ゆすごうね。ここに出しちゃっていいから。」

そう言ってお水を渡し口をゆすがせた。

そして結衣ちゃんを横にすると

太「ごめんね、少し目みるね。」

下瞼をめくった。

…貧血がひどいな。


すると琉生が検査結果が出たからと見せてきた。

やはりヘモグロビンの数値を見てもひどい貧血なのがわかる。

って事は自分でも吐血に気付いていたはず。


それなのに言ってこなかった。


誰にも助けを求めなかった。


それがどんだけ辛かっただろう。


吐血をするほどって事はだいぶ痛みも強かったはず。


それをこの子は1人でじっと耐えたんだ。


俺は胸が締め付けられた。





そんな俺をみて…結衣ちゃんは弱々しい声で話しだした。

結「太陽さん……そんな悲しそうな顔しないで?」



何で俺が逆に心配かけてるんだよ。

俺なんかとしゃべる元気なんてほぼ無いだろうに。



太「まったく~。結衣ちゃんこんな無理しちゃダメだろー?本当びっくりしたよ!」

俺はいつものような調子で結衣ちゃんにそう言った。

少しテンションをあげていないと俺が泣いてしまいそうだったから…。


結「ごめんなさい。」

太「なんかあったら結衣ちゃんには味方がたくさんいるんだから。とりあえずここの病室で今日は休んでね。個室だから電話してもいいけど声は抑えてね!携帯は体に良くないからあまり触らずちゃんと休む事!」

そう言うと俺は自分の携帯に来ていたメールの返信をすると、その携帯をベッドサイドの棚のところに置いた。

結「えっと…でも私携帯持ってないから…大丈……」


太「あーーーっと!俺、呼ばれてたんだった!!ごめん結衣ちゃん!また後でくるね!!」


そう言って俺は結衣ちゃんの病室を後にした。