≪大雅side≫




前に約束した通り結衣の服を買いに来た俺ら。



結「ねぇ大雅兄!!見て見て!!ここ観覧車もあるよー!!」


大「あとで乗るか?」






結「え?いいの?」


冗談半分でそう尋ねてみるとキラキラと嬉しそうな顔をして俺を見る結衣。





あ、乗りたいのね。

面白い奴。

普段は真面目ではしゃいだりしない奴だからこんな事ではしゃぐなんて意外かも。




結「わーすごい!!広ーい!」


大「こーゆーとこ来た事ねぇみたいな言い方だな。」


結「うん!!初めてっ!」 



初めて…か。


こいつはあまり友達と遊んだりとかしねーのか?


あ、でもバイトやら家事やら忙しかったって言ってたっけ。




にしてもだが……


大「ほら。とりあえず服探しに行くぞ。」


そう言って俺は結衣の手を引いた。


結「え…?」


大「お前はしゃぎすぎ。はぐれるから。」


結「う、うん……」



こーゆーことも初めてってやつか……?














大「好きなブランドとかあるか?」


結「ブランド…んー……?」


こーゆーとこ来ないって言ってたもんな。

とりあえず適当に店入るか。





俺はいつもの行きつけの店に入った。




メンズ、レディースどっちもあるし


家族でよく行くお店で店長も良くしてくれるからぶっちゃけ入りやすかったりする。



店「いらっしゃいませ。おぉ。大雅さん!」


大「こんちわ。」


店「何かあったらいつでもお声かけてくださいね。」


大「ありがとうございます。」




店に入ると共に早速挨拶をしにきてくれた店長さんと軽く言葉を交わすと結衣の方を向いた。



大「さーて…どんな服が好み?」


結「あの…えっと……」


大「ん?」


結「すごく可愛い服ばかりなんだけど…あの…お値段があまり可愛らしくないと言いますか…」


結衣は小声でそう言った。


大「あ…値段気にしなくて良いよ。」


結「え!?いや。ダメだよ!!」


大「本当気にしなくていいから。これと…これと…これも。ちょっと着てみて。」


結「う、うん…」





府に落ちない顔で着替えていく結衣。


結衣は目立つ色や暗い色よりはパステルカラーが似合うタイプ。


デザインもあまり派手なのは似合わないから落ち着いた雰囲気のものを何着か選んだ。












大「じゃあ、コレもらって良いですか?」


店「かしこまりました。ただいまご用意します。」







店「お待たせいたしました。」


大「ありがとうございます。じゃ、行くか。」


結「あれ?お会計は?」


大「あー大丈夫。このデパートの社長は俺の親父と取り引きしてるから、基本的払わないんだ。」


結「す、すごい……」


大「あとなんか必要な物あるか?日用品とか。」


結「んー。なんだろ?あ、英語のファイルが欲しいかな。」


大「ファイル?持ってなかったの?」


結「いや、中学の時使っていたのをそのままだったから壊れちゃって。」


大「え。全教科使い回し?」


結「そうだけど。」


大「なら全教科分だな。」



俺らは文房具屋を求めてまた歩き始めた。