≪大雅side≫


試験も終わり、新幹線と電車に乗り21時頃帰宅した。


大「ただいま…」

結「大雅兄おかえり!あの…連絡できなくてごめんね。」

そこには申し訳なさそうな顔をして出迎えてくれる結衣の姿があった。

大「いいよ。別に…。携帯置きっぱなしにして琉兄に持っていかれたんでしょ?」

結「え?」

大「え?」

結「あ、あー!そう!そうだったの!見つからないと思ったら琉生お兄ちゃんが持って行っちゃってたからなかったのかー!」

と焦りながら話す結衣。

これは嘘だとすぐに察した。

だいたい顔を見ればわかる。

って事は俺は太陽くんに騙されたってことか……。




大「おい!!」

俺が眉間に皺を寄せ低い声でそう言うと結衣の体はピクリとした。

はぁ…何でこいつはこんなに分かりやすいんだか…。

どうせなら嘘をつき通してくれれば良いのに。




結「ごめんなさい…っ」

結衣は頭を下げて来た。



こいつの事だから多分体調でも崩してたんだろう。

大「で、具合は?」

結「え?」

大「具合悪くて寝込んでて連絡できなかったんじゃねーのか?」

結「何でわかるの!??」

こいつは…全く。
俺がどんだけ普段結衣のこと気にかけてると思ってるんだよ…。


俺が額に手を当てるとまだだいぶ熱かった。

大「まだ熱下がってねぇだろ。お前は部屋直行な。」

結「でも…大雅兄のお話聞きたかった…っ」

大「話すことなんてねーよ。治ったらゆっくり何でも聞くし話してやるから。」

そう言って背中を押して結衣を部屋に連れて行った。

ベッドに寝かすと俺の服の裾を掴んでくる結衣。


大「どうした?」

結「寂しかった……」

そう言ってくる結衣は今にも泣きそうだ。

大「こんな数日で寂しかったら…俺が大学行ったらどーすんだよ。」

結「だってぇ……」

そう言いながら泣き始めてしまった結衣。


大「本当にお前は……。そろそろ寝ろよ。寝るまで隣に居てやるから。」


結「うん。」

グスンと鼻を啜る結衣に俺がトントンとしているとすぐに眠ってしまった。
 
こんなに辛そうなのに…。
無理して玄関まで来てくれたのか。

別に無理しなくて良いのに。

辛いなら辛いって言えば良いのに。


はやく知識をつけて、結衣をちゃんと診てやれるようになりたい。

もっともっと頑張らねぇとな。




結衣が寝たのを確認して部屋に戻ってベッドに横になった。

大「あーー疲れた。」



ん?
ベッドから結衣のシャンプーの匂いがする。


俺が居ない間寂しくて部屋に来たんかな。

そんな結衣の姿を想像すると思わず俺は頬が緩んだ。



寂しがりやの妹を持つのも楽じゃないな。

と心の中でそっと惚気てみたりしてみたくもなる。


その後、結衣に冷えピタを持っていき風呂に入ると俺も疲れていたからかすぐに眠ってしまっていた。