それから、フィリピンにいる間は、母の現在の家族の家にずっと滞在していたそうだ。母の現在の夫、二人の間に生まれた子供二人の住まう家に。

そこには、父親の違う7歳の弟と5歳の妹がいた。

宿泊だなんて、家が狭くなって申し訳ない……と、思ってたら、案外大きめの持ち家に住んでいて、どちらかといえば裕福そうだった。



「……マハム(母の現在の夫)の仕事、しゃちょーが斡旋してくれてたって、ホント?忠晴さんの奥さんの会社の支店長って」



そう言って、なずなは忠晴の方を見る。

キッチンからお菓子を持ってこっちにやってきた忠晴は、何やら意味を含んでいそうに静かに微笑んでいた。



「ふふっ。ツテは使うものですよ?なずなさん」

「そう……。でも、そのおかげでいい暮らしさせてもらってるって、感謝してたよ」

「マハムさんが優秀なのですよ。妻も言っておりました」

……マハムは春子の立ち上げた家政婦紹介所の社員なのか。



そして、一カ月弱という長くて短いような期間、菩提さん含めた六人で家族のように過ごした。

毎日みんなで食事をしたり、古代遺跡の調査という名の遠足もしたり。