君とベビードール




あたしが落ち着いたことを見計らったような、絶妙のタイミングで、自分の胸からあたしを離した、そのひと。



『恥ずかしい。』



見も知らない男のひとに、泣きじゃくって歩道の隅で抱きしめられたなんて…。



なんだか、恥ずかしさも通り越して、滑稽だ…。



あたしは一体何をしているんだろう。



「もう、大丈夫?」



相変わらずの優しい声色に、顔を上げることすら出来ないあたし。



「…はい。なんか、すみません…。」



顔を伏せたまま、やっとのことで、お礼を言う。