君とベビードール




頭の中が真っ白になって、何も考えられない…。


気がつくと、その場にしゃがみ込んでいた。



歩道の真ん中にしゃがみ込んだあたし。



耳の横を幾つもの足音が通り過ぎる…。



あからさまな舌打ちに、反応する気力すら湧かない。



こんなとこにしゃがみ込んでいたら、邪魔になるし危ない。



わかってはいても、体は動かない…。



ふいに鞄の角が当たって、しゃがみ込んだままよろけた。



顔を上げると、


「ジャマになってんだよ!!」


スーツ姿の男の人があたしに険しい顔を向けていた。