ゲームの内容を思い出しながら、目を閉じる。
 ララリは平民育ちのせいか、無邪気で明るく、思っていることをすぐ口にする。それが貴族の男性には新鮮で、とてもかわいらしく見えるらしい。
 学園で彼女は、多くの男たちを虜にしていた。
 たしか攻略対象とされるキャラクターは、五人ほどいたと思う。
 それだけの男たちがひとりの女性を愛し、なおかつ互いが仲良く協力関係であるなど、普通の貴族社会では考えられないことだ。
(まあ、それが成立しちゃうのが、恋愛ゲームなんだけど……)
 攻略対象は誰だったのか、思い出してみる。
 ひとり目は、王太子。
 先ほどまでこのホールにいた、あの王太子だ。
 たしかゲームではメインヒーローで、いかにも王子様といったキラキラしい外見だった。
 ふたり目は、騎士団長の息子。
 攻略した覚えはあるが、残念ながら詳細を思い出すことができない。
 三人目の魔導師団長の息子も、四人目の神官も同じく。
 この世界で実際に会うことがあれば、そのときに思い出すのかもしれない。
 五人目は、何とセシリアの兄であるユージン・ブランジーニ。
(お兄様、攻略キャラだったのね)