だが幼年期のアルヴィンを見ているセシリアには、魔力と同じくそれなりの美少年にしか見えない。
 そんなことを思った瞬間に名前を呼ばれ、少し上擦った声で返事をする。
「は、はい」
 どうやら身分が高いから呼ばれているらしく、セシリアは王女に続く立場のようだ。
(うう、緊張する……)
 この腕輪がある限り大丈夫だと信じているが、それでも緊張してしまう。
「セシリア。大丈夫だ」
 震える手がしっかりと握りしめられ、顔を上げるとアルヴィンが、泣きたくなるくらい優しい顔で微笑んでいた。
「俺がついている」
「……うん」
 少し頬を染めながら、セシリアはしっかりとした足取りで歩き出す。
(わたしにはアルヴィンがいる。だから、大丈夫)
 そう自分に言い聞かせながら、水晶の前に立った。
「大丈夫ですよ。落ち着いて」
 黒縁の眼鏡をかけた白髭の学園長が、優しくそう言ってくれた。
「は、はい。頑張ります」
 深呼吸をしてから、そっと手を翳す。
 王女のものより小さいが、鮮明な白い光が水晶に宿った。
「おお、これはとても綺麗な魔力です。まだ光は小さいですが、これから伸びる可能性もありますよ」 
「ありがとうございます」
 学園長にお辞儀をして、席に戻った。