「わかった。学園に入ったときから、お前と俺は恋人同士だ。遠慮はしないから、覚悟しろ」
 そう言って笑った彼の顔があまりにも綺麗だったので、どきりとする。
「もちろん」
 反射的にそう答えてみたものの、なぜか胸の動悸はすぐに治まらなくて、セシリアは何だか落ち着かないような気持ちになっていた。
(え、覚悟って、何の?)
 それだけが疑問で、ちょっとだけ不安だった。
 気合を入れまくって勉強をしたというのに、魔法学園の入学試験は、思っていたよりもずっと簡単なものだった。
 筆記試験は教室で行われ、それが終わったあと、セシリアはアルヴィンとともに休憩室で待機していた。
 高位貴族には個室が与えられていたが、下位貴族はひとつの部屋に集まっていたようだ。
「というか、筆記試験なんて簡単すぎて、何か裏があるのかと思ったわ」
 深読みをしまくって疲れ果てたセシリアに、アルヴィンが呆れたように笑う。
「これから学園で勉強するのに、そんな難しい問題が出るはずがないだろう?」
「それは……そうだけど」