「え?」
 首を傾げて尋ねると、アルヴィンは複雑そうにセシリアを見つめる。
「セシリアの魔力は強すぎるほどだ。制御も、そのうち覚えるだろう。魔法を理解していないわけでもない。それなのに魔力が馴染んでいない」
「……なんとなく、言いたいことはわかるわ」
 思えば、セシリアも不思議だった。
 どんなに魔法の知識を積み重ねても、魔力の制御を覚えようとしても、なぜか実践することができない。
 自分の魔力を感じることはできるが、それを自分自身のものだとなかなか実感することができなかった。
「わたしには、魔法の才能がないってことかしら……」
「いや、そんなことはない。セシリアには間違いなく、魔法の才能がある。だが、違和感があるのもたしかだ。……以前、似たような症状を訴えている者の手記を読んだことがある」
「手記? どんな?」
「自分を、異世界からの転生者である、と語っていた男のものだ」
「!」
 セシリアは驚いて、アルヴィンを見つめた。
(まさかわたしの他にも、この世界に転生したひとがいたなんて)
 その驚きのまま、質問を重ねる。