それでも、以前のアルヴィンから魔力をまったく感じなかったのは事実だ。
 セシリアは手首に嵌めている腕輪を見つめる。
「これは、本当にアルヴィンが付けていたものと同じなの?」
「もちろんだ」
「今まで魔力は高いかもしれないと言われてきたけど、そこまで高いとは言われなかったわ」
「それは、魔力の制御がうまくできなかったからだ。あの家庭教師もそうだが、他人の魔力の強さを、成功した魔法でしか測れない者は多い」
「魔法がほとんど成功したことがなかったから、漠然とした評価しかなかった、ということ?」
「ああ、そうなる」
「……」
 セシリアは混乱したまま、両手を頬に押し当てて考え込む。
 いくら強い魔導師が優遇されるとはいえ、さすがに王族よりも高い魔力を持っているのは厄介でしかない。
 過ぎた力は、恐怖となる。
 忌避されるか、利用されるか。
 そのどちらかだ。
 アルヴィンも、強すぎる魔力のせいで疎まれたと言っていた。
 その言葉以上の扱いだったことは、初めて会ったときの様子から想像することができる。
 痛々しいほど痩せた身体。