短時間で魔法の知識を身につけ、それを自在に使いこなす才能には、少しだけ嫉妬してしまう。セシリアなど、これから学園入学の日まで、勉強漬けの毎日を送らなければならないというのに。
 溜息交じりにそう言うと、アルヴィンは少しだけ、憐れむような目でセシリアを見た。
「お前の弱点は、その鈍さだな」
 そう言って、手を伸ばしてセシリアの腕に触れる。そこには、アルヴィンから贈られた魔力を抑える腕輪が嵌められていた。
「俺がこれを身に付けていたとき、魔力を感じたことがあったか?」
「……ううん。アルヴィンに魔力があるなんて、全然気が付かなかったわ」
「セシリアは今、俺と同じものを付けている。だが、それでも普通の貴族よりは少し高いくらいの魔力がある。つまり、俺よりもずっと、お前の魔力は高い」
「そんなことは……」
 いくら何でも、それはあり得ないと思った。
 アルヴィンの魔力は、もしかしたらこの国の王族よりも高いくらいだ。
 公爵家とはいえ、ただの貴族の令嬢でしかないセシリアが、それよりも高い魔力を持っているなんて考えられない。
(でも……)