問題は、王太子のアレク。
 セシリアが予想していたように、アレクにはもともとそれだけの魔力がなかったことから、事件を起こしたのは彼の意志ではないと結論が出たようだ。
 だが王太子の地位にいる者が、やすやすと意志を奪われるなど、あってはならないことだ。
 アレクの魔力の低さから、以前からミルファーを王太女に推す声があったのだが、それがますます大きくなっているようだ。
 これから彼がどうなるか、それは上層部の人間が決めること。セシリアには、それを見守ることしかできなかった。
 
 これからこの世界がどうなるのか、セシリアにはわからない。
 もうゲームの知識は通用しない。エンディングの先の世界を生きるようなものだ。
 それでもアルヴィンが傍にいてくれるなら、きっと何とかなると信じていた。

 学園はまた何日も閉鎖されることになってしまったが、事件の事後処理が終わったら、再開することになっている。
 その前に、アルヴィンとふたりきりでデートをするという、あの約束を果たさなければならない。