アルヴィンがセシリアの守護騎士となってから、一年。
 珍しく母が寝室から出てきて、セシリアに会いたいと言っているようだ。母が自分から会いたいと言うなんて、初めてのことだ。
 困惑したが、母の申し出を断ることなんてできない。そんなことをしたら、父が激怒するだろう。
「急に会いたいなんて、何故かしら?」
 困惑して、自分の守護騎士である彼にそう尋ねると、アルヴィンは少し考えたあとに、こう言った。
「もうすぐセシリアの誕生日だ。それに関することかもしれない」
「……ああ、誕生日ね」
 言われてみれば、セシリアはもうすぐ十二歳になる。
 だが、節目として大切な十歳の誕生日を放置された身としては、今さらという気持ちだ。
 それに、普通の十二歳ならまだ母親が恋しいだろうが、今のセシリアの中身は、アラサー女子である。会ってもどんな顔をしていいのかわからない。