「もうすぐ来てくれると信じていたから、戦えた。わたしはひとりじゃなかったわ。ずっとアルヴィンのことを考えていたもの」
 たとえこの先、離れて暮らさなくてはならない状況になったとしても、互いに想い合う心がある限り、ひとりになることはないだろう。
「それに、わたしは強いのよ。だから心配しないで」
 体力は尽きそうだったが、まだまだ魔力には余裕があるようだ。きちんと体力をつければ、もっと強い相手とも戦えそうだと思った。
「アルヴィン」
 それでも心配そうな彼の腕に触れようとして、その腕が傷だらけなことに気が付いた。
 慌てて治癒魔法をかける。
「フィンとの戦いで?」
 アルヴィンをここまで傷つけるほどの力だったのかと驚いたが、彼はそれを否定した。
「違う。王太子に力を与えている魔族を探ろうとしたら、逆に弾き飛ばされた」
「!」
 アルヴィンはこの魔道具を発動させる前に、アレクの力の源を探ろうとしたようだ。
 けれど相手の力は、アルヴィンの想像を遥かに上回っていた。
「どうしてそんな、無茶なことを」