それに闇の力が加わったのだから、アルヴィンもあまり手加減できなかったようだ。
 フィンを倒したアルヴィンは、すぐにセシリアの元に向かおうとした。
 でもその前に、ミルファーによって出動命令が出された騎士団と魔導師団。そして、魔道具の材料を持ったララリと遭遇したらしい。
 アルヴィンは魔道具よりも、セシリアと合流することを優先したかった。
 だが、もしアルヴィンに倒されたフィンが目を覚ましてしまえば、普通の騎士団や魔導師団では相手にならない。
 闇の力を得たフィンと騎士団が戦闘になれば、大惨事になっていた可能性がある。ヒロインのララリにも被害が及んだかもしれない。
「アルヴィンが魔道具を優先させてくれて、よかったわ」
 セシリアは安堵したが、ひとりで戦わせてしまったことを、アルヴィンはとても悔やんでいる様子だ。セシリアをきつく抱きしめる彼の腕に、そっと手を添える。
「アルヴィン?」
「すまない。ひとりで戦わせてしまった。俺は、お前の守護騎士なのに」
「ううん、ひとりじゃなかったわ」
 セシリアは、アルヴィンの胸に甘えるように頭を擦り付ける。