「もちろん、その魔道具が本当に魔族にも効果があるのかわからない。もしかしたら、彼が変わってしまったのは、魔の影響だけではないかもしれないわ。でも……」
「はい、わかっています。でも、希望が少しでもある限り、私は諦めません」
 ララリの言葉と同時に、涙が頬を伝う。
 その涙を見ながら、セシリアは思う。
 彼女は本当にアレクのことを慕っているのだろう。
 これほどまで強い想いならば、きっと願いは叶うと信じたい。
「王女殿下がもう少し落ち着いたら、ふたりには城外に脱出してもらうわ。外でやって欲しいことがあるの」
「はい、何でもやります」
 即答したララリに、魔道具を作るための材料を集めて持ってきてほしいと依頼する。
「アルヴィンならきっと失敗はしないから、ひとつずつで構わないわ。王太子殿下と対峙する前に、完成品の魔道具が必要なの」
「わかりました。すぐに手配します」
 リアスがいるから、クリスタルもすぐに浄化してもらえる。
 魔道具が完成すれば、アレクに巣食う魔を退けることができるかもしれない。
「私にできることは……」