その威力に、攻撃してきたフィンが弾き飛ばされた。彼から目を離さないまま、アルヴィンは静かに言った。
「今のうちに行け」
「……アルヴィン」
「最初に言ったように、セシリアが危険なことをするのは反対だ。だがお前の望みなら、すべて叶えてやると言った。その言葉に嘘はない」
 アルヴィンはフィンがまだ立ち上がれない様子を見ると、セシリアに視線を移した。
「セシリアは、思い通りに動けばいい。何があっても俺が守る」
 その穏やかな言葉と視線に、彼は最初に反対したときから、セシリアの望み通りに動くと決めていたようだと気が付く。
 自分勝手に動いてしまうことを、この場を一人で任せてしまうことを謝りたい。
 そんな自分を許して、受け入れてくれたことに、感謝の言葉を告げたい。
 でも今は、そんな猶予はない。
「ごめんなさい。ありがとう」
 今はそれだけを伝えた。
 戦いが終わったら、ちゃんと伝えよう。
 そう決意して、セシリアは走った。
 同時に、アルヴィンが攻撃を開始する。
 あれほど立て続けに攻められてしまえば、フィンに自分を気にする余裕はないだろう。