でも彼女は昏睡状態だ。彼女の守護騎士に至っては、助かるかどうかも難しい状態らしい。
 王女に治癒魔法を使わせてほしいと頼み込むが、疑いのある人間を重体の王女に近寄らせるわけにはいかないと、断られてしまった。
 王都に住む人達を守るため、王家に忠誠を示すために膨大な魔力を消費して結界を張ったセシリアとアルヴィンに、何の疑いがあるというのだろう。
 王都の結界を故意に壊して、王女を襲わせたのではないかという、的外れな疑いを向けられたまま、王女の回復を待つしかないのだろうか。
 焦るセシリアに朗報をもたらしてくれたのは、ララリだった。
 彼女は自由に動けないセシリアに代わって、いろいろと情報を集めてくれていた。
「昔からお世話になっている、神官様がいるのです」
 それは、クリスタルを清めてもらう予定だった、あの攻略対象の神官だろう。
 彼が王城に赴いて、王女ミルファーの治療をするようだ。
 ゲーム上では優しく穏やかで、まさに神官にふさわしい好青年だった。