ララリが引き取られたエイター男爵家の領地では、良質のムーンストーンが採れると聞いたことがある。フィンも、それを当てにしているのだろう。
 自分の役割が決まり、ララリも張り切っていた。
「それでは私は、これからすぐにお父様とリアス様に手紙を書きますね」
 彼女に続いて、セシリアも席を立った。
「わたしもお父様に連絡してみるわ」
 あの父のことだから素直に協力してもらえるとは思わないが、未知の魔法を言えば興味を持ってくれるかもしれない。
「すまないが、頼む。何かわかったら連絡してほしい」
 真剣な顔でそう言うフィンに頷き、セシリアは魔法式が書かれた紙を手に、アルヴィンとともに図書室から出た。

 ララリは男爵家に引き取られたとはいえ、当主のエイター男爵は実の父親である。魔導師団長の息子であるフィンに頼まれたといえば、彼が欲している品をすぐに用意してくれるだろう。
 問題は、セシリアの方だ。どうやってこの魔法式を父に解読してもらうかと、頭を悩ませていた。
「ここはやっぱり、お母様を使うべきかしら?」