「お父様の?」
 突然の提案にセシリアは驚いたが、フィンはむしろ望む答えだったようで、大きく頷いた。
「そうしてもらえると助かる。ここに、魔法式を書き写したものがある。これを渡してほしい」
「ええ、わかったわ」
 あの父がこの件に協力してくれるのか不安になるが、一応、この国の筆頭魔導師だ。話だけはしてみようと、それを受け取る。
「私は何をすればいいですか?」
 魔法書を読むことができなかったようで、少し肩を落としながら、ララリが尋ねる。
「失敗するかもしれないことを考えて、大量のクリスタルを用意している。君にはたしか、神官の知り合いがいたと思うが」
「ええ、います。神殿に仕えているリアス様です」
 ララリは大きく頷いた。
(ああ、まだ登場していなかった最後の……)
 その名前を聞いて、神官がゲームでは五人目の攻略対象者だったと思い出す。
 彼もここで登場するようだ。
「わかりました。リアス様に頼んで、クリスタルを浄化してもらいます」
「それと、ムーンストーンの数が足りないんだ」
「はい。それはお父様に頼んでみます」