それでも戦わずにすむのなら、その方がいい。
「ええ」
 だからセシリアは、彼の言葉に短く頷くと、近くにある椅子に座り、話を聞く体制を見せる。
 ララリも隣に座ったが、アルヴィンはふたりの背後に立ったままだ。フィンを警戒しているというよりも、守護騎士としての立場から、主の背後を守るようにして立ったのだろう。
 フィンは、そんなアルヴィンにちらりと視線を走らせた。
 だがその視線から感じ取れるのは敵意ではなく、アルヴィンが話を聞いてくれるのかどうか、少し心配しているようにさえ見えた。
王女よりも強い魔力を持つアルヴィンの力を借りるために、わざわざ主であるセシリアに声をかけたのかもしれない。
セシリアがアルヴィンを見上げると、彼は軽く頷いた。
それを見て、どうやら話を聞いてもらえるようだと安堵したフィンは、どこから話そうか、と小さく呟いた。しばらく考え込んだあと、こう語りだした。
「僕はここ最近ずっと、魔族について調べていた」
「魔族?」
「ああ、そうだよ。なぜそんなことをしていたかというと、アレク王太子殿下から頼まれたからだ」