とにかくヒロインはこちらの味方なのだから、悪役令嬢にもならなかったセシリアが破滅することはないかもしれない。
 でも、セシリアがヒロインのライバル役になってしまったとしたら、むしろ過酷なのはこれからだ。
 ヒロインと協力して、魔族を倒さなくてはならないのだ。今までは悪役令嬢にならないように、できるだけ目立たないようにしてきたが、これからはそうもいかないかもしれない。
 ララリと相談して、次の休みにララリと一緒に話を聞くこと。もちろん、守護騎士のアルヴィンを伴うこと。両方を受け入れないのならば、会って話をすることはできないと返事を出すことにした。
「せっかく、次の休日はアルヴィンとデートだと思っていたのに。このせいで、延期ね」
「ああ、本当に。くだらない用事だったら許せないな」
 冗談っぽく言ったセシリアとは裏腹に、アルヴィンの言葉は真剣そのものだった。
「……わたしも、楽しみにしていたの。すべてが終わったら、ふたりでたくさんデートをしようね。いつだって機会はあるわ」
 素直な気持ちを伝えたくなってそう言うと、アルヴィンも頷く。