「あなたの愛が、きっと王太子殿下を救ってくれる。わたしはそう信じているわ」
 ララリはそんなセシリアに目を奪われたように、しばらくの間呆然としていたが、やがて我に返ったように頷く。
「そうですよね。私が信じなきゃ。すみません、弱気になってしまって。アレク様のために頑張ります」
 前向きで、明るいララリ。
 きっと彼女ならヒロインらしく、望む未来を勝ち取るだろう。
 夕方になると、ララリが戻るのと入れ違って、アルヴィンが戻ってきた。あまりいい成果を得られなかったのか、彼は少し疲れたような顔をしてソファーに座り込む。
「アルヴィン」
 傍によると、手を引かれた。導かれるまま、彼の隣に座る。
「大丈夫?」
「ああ。少し疲れただけだ。それより、情報の整理はできたか?」
「ええ。やっぱり彼は、魔法の研究をしているらしいわ。それが何の魔法なのか、まだわからないの」
「……魔法の研究か」
 アルヴィンはしばらく考え込んでいたが、王太子は? と問いかけた。
「普通に学園には通っているらしいわ。でも、雰囲気が随分変わってしまったと嘆いていた」
「そうか。あまり時間は残されていないのかもしれないな」