そしてセシリアの兄のユージンも同じように、数日前から学園に来ていなかった。
 あの儀式の日から、セシリアは何度も兄に連絡を入れている。
 でも、一度も返事が返ってきたことはなかった。
 アルヴィンに男子寮まで見に行ってもらったが、兄の部屋は鍵が掛けられていて、騎士も侍女も不在だった。兄と連絡が取れないと父に訴えても、無駄だということはわかっている。
 さすがに心配だったが、セシリアが嫌で避けている可能性も否定できない。今の段階では、定期的に連絡をするしかなかった。
 
 この日、セシリアはララリを自分の部屋に招いて、集めた情報の整理していた。
 アルヴィンは魔封石を探すために町に出ていて、その間、彼が結界を張っている安全な部屋にいるようにと言われていた。
 待っているだけなのはもどかしいが、自分がおとなしくしていることこそ、彼の負担を減らす一番の方法だと知っている。
 それに、ララリがたくさん情報を集めてくれていたので、彼女を招いて話を聞くことにしたのだ。
「フィン様のことなんですけど、理由が魔法の研究ということで、学園でも大目に見ているところがあるようです」