さすがに前世やゲームのことは話せなかったが、魔族が関わっていることと、黒い瘴気のことはしっかりと話した。かなり驚いた様子だったが、ララリはその話に納得したようだ。 
「あんなに優しいアレク様が、あんなことを言うなんて、おかしいと思ったんです。魔族に操られているせいなんですね。それを倒せたら、もとの優しいアレク様に戻りますよね?」
「ええ。その可能性はあると、わたしは信じているわ」
 セシリアはそう答える。
 ララリを安心させるためだけではなく、本心からだった。
 メインヒーローであったアレクが、魔族の手下となってしまうなんて、悲しすぎる。
 きっとこの物語も、ヒロインとヒーローのハッピーエンドで終わると信じたい。
「私にも協力させてください。絶対に、アレク様を取り戻したいです」
「ええ。あまり危ないことはさせられないけれど、情報を集めるのに人手が必要なの。ぜひ、お願いしたいわ」

 それから数日は、情報収集のために動いた。
 どうやらフィンは、ここ数日学園に来ていないらしい。
 部屋に引きこもって魔法の研究をしているようだと、ララリが彼の同級生から聞いてきた。