ゲームの知識によれば、彼は学園内の図書室か、もしくは魔法訓練所にいることが多かったはずだ。
 セシリアはアルヴィンとともに、彼を探すことにした。
 もう今日の授業は終わってしまったこともあり、生徒の数もまばらだ。
 今の王太子には、会わないほうがいい。そう思ったセシリアは、ララリも探すことにした。
 彼女をけしかけるようなことを言ってしまった直後だ。
 どう説明したらいいのかわからないが、魔族が関わっている以上、彼の傍にいるのは危険だろう。
 セシリアはまず、どちらがいてもおかしくないと、図書室に向かった。
 学園の図書室は、前世の記憶にある図書室とそう変わらない。
 壁を取り囲むように大きな本棚があり、そこに魔法に関する本がびっしりと並んでいる。中央には机と椅子がいくつか並んでいて、そこで本を読んでいる生徒が何人かいた。
「うーん、どっちもいないわね」
「そのようだな」
 本を読んでいる人たちの邪魔をしないように、静かに図書室の中を歩き回って探したが、フィンもララリもいなかった。魔法訓練所にも足を向けたが、今日はもう閉鎖されていた。