「せっかく想いが通じたのに、ふたりきりになれる時間がなかなか取れないと思っただけだ」
「!」
 たしかに学園ではいつもララリが傍にいたし、寮に戻ればふたりの侍女がいる。ずっと一緒にいるとはいえ、ふたりきりになることがほとんどないと気が付いた。
「ごめんなさい。じゃあ今日は、このまま帰る?」
「いや、謝る必要はない。ただ俺が、セシリアを独り占めしたいだけだ」
「……」
 思わず頬が染まる。
 想いが通じ合ったという自覚はあっても、こうやって面と向かって甘い言葉を囁かれると、何だか恥ずかしくなってしまう。
「じゃあ今度のお休みに、ふたりでどこかに出かけよう? わたし、気合を入れてお弁当を作るわ」
 でもセシリアだって、アルヴィンのことが好きだ。ふたりきりになりたいと思う気持ちもある。
 だから思い切ってデートに誘ってみた。
「ああ、そうだな。楽しみにしている」
 アルヴィンがすぐにそう返事をしてくれて、セシリアも嬉しくなって微笑んだ。
(お弁当、何を作ろうかな。サンドイッチは今日作ったから、今度はハンバーガーみたいなの作ってみようかな?)