溜息をつきながらも、それでも無事に授業を終える。
 いつもならすぐに駆けよってくるはずのララリは、すぐに席を立った。
 おそらくアレクを探しに行ったのだろう。
「どうする?」
 それを目で追っていたセシリアは、アルヴィンの呼びかけに顔を上げる。
「そうね。探すのくらい、手伝ってあげた方がいいかしら」
 学園は広いし、王太子であるアレクの行動範囲は広い。
 もしすでに王城に戻っているのなら、それを教えてあげなければ、ララリはいつまでも探しているかもしれない。
「わかった」
 アルヴィンは頷き、セシリアとともに教室を出る。
 でもその彼が浮かない顔をしていることに気が付いて、思わず足を止めた。
「アルヴィン、どうしたの?」
 彼がセシリアの前でこんな顔をするのは、初めてかもしれない。
「ふたりに協力するのは、嫌?」
「そんなことはない。むしろ、セシリアの見た予言では婚約者になったかもしれない王太子が、他の女性を選ぶなら喜ぶべきことだ。ただ……」
 アルヴィンは言葉を切り、手を差し伸べる。
 セシリアは迷うことなくその手を握った。
「ただ?」