「落ち込んでいたり、悲しそうだったり。たまに、すごく思い詰めたような顔をしているときもあって。すごく、気になって」
 それはきっと、儀式での失敗のせいだろう。
 国王の代理として出席した儀式で、魔石を盗まれたし、間違えて魔封石を出してしまったのだから。
「王太子としては優しすぎるとか、気弱で頼りない、なんて言われていることも知っています。でも私は、そんな彼の優しさに助けられたんです。何か私にできることがあったら、とつい思ってしまって」
「それは直接、彼に伝えてあげたほうがいいと思うわ」
 セシリアはそう言って、微笑んだ。
「きっと殿下も心強く思うでしょう」
「……本当ですか?」
「ええ、もちろん」
 ヒロインがメインヒーローとくっつくのならば、セシリアとしても安心だ。
「うん、頑張ります。私はあの方に、少しでも元気になってほしいんです」
 ララリはせっかく持ってきたお弁当をしまうと、立ち上がった。
「すみません、セシリア様。私、行ってきます」
「がんばってね」
「はい!」
 ララリは笑顔でそう言うと、走り出していく。