「ええ。でもわたしたち、今日は中庭で食べようと思っているの」
「はい、私もお弁当を持ってきたので大丈夫です」
 アルヴィンとララリと一緒に、中庭に向かう。
 大抵の生徒は学園内にある食堂で食べるようで、人影はほとんどいなかった。中庭の中央に植えられている大きな木の陰にシートを敷いて、並んで座った。
「セシリア様が作ったんですか? すごく、おいしそうですね」
 広げたサンドイッチを見てララリが感嘆の声を上げるが、すかさずアルヴィンがやらんぞ、と低い声で言う。
「アルヴィンったら。たくさん作ったから、大丈夫よ」
 いつも無表情でそっけないアルヴィンが、セシリアの前だと自然に笑ったり、子供のように拗ねたりする。
 それを見ていたララリは、少し切なそうに俯いた。
「セシリア様が、少しうらやましいです……」
「え?」
 まさか、アルヴィンのことが好きなのだろうか。
 思わずそう考えて身を固くするセシリアに、ララリは弱々しく笑う。
「私も、好きな人がいるんです。身分違いで、学園でもなければ話しかけることもできないような人で。でも、急に学園に入ることになった私をとても優しく気遣ってくださいました」