その返答に安心して、笑みを浮かべた。

 翌朝、セシリアは久しぶりに制服に着替え、アルヴィンとともに学園に向かった。
 今日は何事もなく教室まで辿り着き、ほっとする。
 学園の教室は、高校というよりは大学のような雰囲気だ。
 いくつかの長い机と椅子がずらりと並んでいて、席はとくに決められていないようだ。セシリアは一番前の右側の席に座り、魔法書を取り出した。その隣にはアルヴィンが座る。
 授業が始まるまで魔法書を読んで過ごそうと思っていた。
 けれど、そんなセシリアに誰かが話しかけてきた。
「おはようございます! あの、隣に座ってもいいですか?」
 甘く澄んだ、可愛らしい声。
 間違いなく、ヒロインであるララリの声だった。
 顔を上げると、ララリがにこやかに微笑みながら、こちらを見つめている。
 ゲームではアイドルとしても人気の高い声優が担当したこともあり、発売当時は女性だけではなく、多くの男性が、その声優目当てにゲームを購入したようだ。
 恋愛系ゲームとかけ離れたあの第二部は、その男性客をターゲットにしていたのではないか。ゲーム雑誌のレビューに書かれていたことを思い出す。