隣にはアルヴィンがいて、セシリアの知識と不安をすべて共有してくれている。
 それがこんなにも心強い。
(絶対に、幸せな未来を勝ち取ってみせる。わたしたちに待っているのは、きっとハッピーエンドだから)
 そう固く信じて、そのまま眠ってしまったアルヴィンに寄り添った。
 結果だけを見れば、儀式は一応、成功に終わった。
 王都にはひさしぶりに結界が張られ、セシリアは父の代理という役目を無事に終わらせることができた。
 魔封石のことは、それが禁忌の品であることも考え、儀式に立ち合った高位貴族にも、その存在を伝えないことになったようだ。
 それでも魔石が紛失したのは王城内であること、魔封石と取り違えたのは王太子であるアレンだということで、国王陛下から謝罪があった。
 もともと、ブランジーニ公爵家の忠誠を示すための儀式だ。無事に終わったこともあり、それ以上追及する気はない。
 でもそれも、アルヴィンが無事だったからだ。もし彼に何かあったら、セシリアはアレンを許せなかった。もしアルヴィンを失ってしまえば、ゲームの悪役令嬢以上に暴走してしまっていたかもしれない。