「おそらくその予言の中の俺は、セシリアに出逢えなかったのだろう。少しでも時間がずれたら、あの場所で会うこともなかった。それに叔母が勇気を出して俺を逃がしてくれなかったら、今でもあの場所に囚われたままだったかもしれない」
「アルヴィンと出逢えたのは、わたしにとっても運命が変わるできごとだった。そのゲーム……。予言の中のわたしは、ひどい女でね。わがままで、傲慢で、多くの人を傷つけていた。前世の記憶が蘇ったこともあるけれど、何よりもアルヴィンとの出会いが、わたしを変えてくれたわ」
 悪役令嬢の破滅フラグは、すべてアルヴィンが潰してくれた。
 そう告げると、彼は幸福そうに微笑む。
「俺がセシリアとの出会いで救われたように、セシリアの救いになることができたのなら、これ以上嬉しいことはない。ふたりなら、どんな運命でも乗り越えられる」
「うん。わたしもそう信じている。正直に言って、これから先はどうなるのか、まったくわからないの。ゲームではわたしがヒロインをいじめて、いろいろな試練を与えるはずだけど、そんなことをする気はないし」
 それに儀式も黒い瘴気も、第二部のイベントなのだ。