「それは俺も同じだ。儀式のとき、どうしてもお前の力を借りたくなかったのも、セシリアが大切だからだ。でも、力を貸してもらった。俺が倒れたら、セシリアが泣くと思ったから」
 それと同じように、セシリアもアルヴィンの手を借りるべきだと彼は言っているのだ。
 ふたりはもう、主従関係だけではない。
 互いに大切に想い合う、恋人同士なのだから。
「……うん」
 アルヴィンを頼って、すべてを話す。そう覚悟を決めて、セシリアは頷いた。 
「わたしが転生者だっていうことは話したけど、そこでは、この世界を模倣したゲームがあったの」
「ゲーム?」
 聞いたことのない言葉のようで、アルヴィンが首を傾げる。
 立体的な本のようなものだと説明してみたが、通じただろうか。
「物語があって、それを読み進めていくんだけど、自分が選んだ選択肢によって未来が変わるのよ。この世界は、わたしが遊んでいたそのゲームとそっくりなの」
 国の名前や歴史なども同じ。さらに登場人物として実在している人たちが出ていたことを話すと、アルヴィンはしばらく考え込んでいた。