関係性が変わっても、積み上げてきた絆は変わらない。むしろこれから、もっと強くなっていくのだろう。
(儀式も、ふたりの関係が変わっていなかったら、乗り越えられなかったかもしれない)
 アルヴィンはセシリアの守護騎士という立場から、絶対にセシリアの助けを拒んでいた。騎士として、守護するべき主を危険に晒すことなどできないと、強く思っている。
 でも想いが通じ合っていたから、アルヴィンのことが大切だと言ったセシリアの言葉を優先してくれたのだ。
 儀式の成果を確かめようとして、窓から外を見上げる。晴天の空に、陽光を反射してきらめく結界が見えた。
 王都をドーム状に覆っているこの結界は、人の出入りを制限することはないが、魔物の侵入を防ぐことができる。魔力を持つ者が減りつつあるこの国にとって、心強い存在になるだろう。
 セシリアはその結界を見つめながら、当日のことを思い出す。
 もし魔石が盗難に合わなかったら、儀式は何事もなく無事に終わっていただろう。アルヴィンの魔法は安定していたし、魔力も充分だった。
 でも魔封石の存在が、すべてを狂わせてしまった。