(わたしのアルヴィンなのに)
 思わずそう考えてしまったが、ふたりはもう心を通わせ合った恋人同士なのだ。
 これからは堂々とそれを主張できる関係なのだと気が付いて、たちまち嫉妬心など吹き飛んでしまう。
 アルヴィンはセシリアの守護騎士なので、その忠誠は王家ではなくセシリアに向けられている。彼は片膝をついてセシリアに跪き、セシリアはアルヴィンに、王都の結界を張るように命令を下した。
 アルヴィンは中央の台座まで歩み寄り、片手を魔石に当てて目を閉じる。
 彼の魔力が高まっていくのを感じて、セシリアは両手をきつく握りしめた。
 魔法が構築されていく。
 その有様が、今のセシリアには手に取るようにはっきりとわかった。
 アルヴィンの魔力も安定している。その魔法が王都を覆っていく様子を、セシリアは静かに見守った。
 その背後で、儀式に立ち会った高位の貴族たちがざわめいている。
 彼らはこの国では比較的、魔力の強い人たちだ。アルヴィンの魔力の強さが、はっきりとわかったのだろう。