「そうだったのね。ごめんなさい。何となく言えなくて……」
 思えば、転生者の話を聞いたときに自分から打ち明けるべきだった。
 そう言って反省するセシリアに、アルヴィンは気にするなと優しく言ってくれた。
「たまに口調や態度が砕けるときがあったから、不思議に思っていた。そういう理由なら、納得した」
「うう……。たしかにアルヴィンの前では、昔のように話してしまうこともあったかもしれない」
「今度、セシリアの昔の話を聞かせてくれ」
「うん。でも、あまり楽しい話じゃないかもしれない。アラサーで、腐ってはいなかったけど割と廃なゲーマーだったし」
「……何の話なのかさっぱりわからないが、たとえ生まれ変わる前だとしでも、それがセシリアであることには変わりはない。色々と聞かせてくれ」
「……わかったわ」
 以前の自分を知りたいと思ってくれることが、何だか嬉しくて、セシリアは頷いた。
 だが今は、儀式を成功させること。
 そして、あの黒い瘴気の正体を掴むことを、優先しなければならない。
 セシリアは頭を切り替えて、アルヴィンに向き直る。