「セシリア、魔力が……」
 アルヴィンにもそれがわかったのか、驚いたようにセシリアを見つめていた。
「まさか、これほどの力だとは思わなかった。もうお前を守るなんて言えないな」
 魔力が馴染み、真の力を手にしたセシリアは、あのアルヴィンがそう言うほどだった。
 でもセシリアは首を振り、アルヴィンを抱きしめる。
「あなたが大切に守ってくれたから、わたしが自分自身の気持ちを自覚するまで待っていてくれたから、手にすることができた力よ。何もかもあなたのお陰だわ」
 アルヴィンと、この世界で生きていく。
 それはセシリアが自分で決めた、これからの未来。
 公爵家のことや、アルヴィンの過去のことなど、解決しなければならない問題は多い。でもそれだけは、どんなに環境が変わってもけっして変わらない。

 しばらく抱き合っていたが、ふとセシリアは我に返ってアルヴィンの腕から抜け出した。
「セシリア?」
 不満そうな声が聞こえてくるが、防音の魔法を使っているとはいえ、ここは王城だ。
「わたしだって、ずっとこうしていたい。でも、これから儀式があるの」
「……ああ、そうだったな」