身体に力がみなぎっている。今なら何でもできそうな気がしていた。
(何かしら、この無双感。魔力に満ち溢れているような……)
 そう思ったところで、以前、アルヴィンが話していたことを思い出した。
 セシリアの身体に、魔力が馴染んでいない。そう言った彼は、百年ほど前に生きていた転生者の話をしてくれた。
 彼は膨大な魔力を持っていたのに、魔法が使うことができずに悩んでいた。でもこの世界の人間を愛し、この世界で生きていく覚悟が決まってからは、魔力が身体に馴染み、魔法も使えるようになったという。
「もしかして、わたしも?」
 魔法の力を信じられなかったという百年前の人間と違って、セシリアはゲームや漫画などの知識から、魔法という存在を知っていた。
 だから百年前の彼と違って、まったく魔法が使えないということはなかった。
 でも異世界の魂に、魔力はなかなか馴染めなかったらしい。魔力が不安定だと言われていた。
(でも今は、身体に満ちている魔力の存在をはっきりと感じ取れる。思うように使う自信もある。……アルヴィンを愛したから?)
 この世界で生きていく覚悟が、ようやく決まったのだ。