「ああ。ずっとセシリアを愛していた。それなのにお前は、俺の気も知らずに偽装の恋人などと言い出して」
 責めるような口調に、思わず俯く。
「……あれは、その。アルヴィンを守りたくて……」
「もう偽装などではない。セシリアは、俺のものだ」
 その言葉にたちまち頬を染めるセシリアを、アルヴィンは抱きしめる。
「ようやく手に入れた」
 セシリアの気持ちが自分に向くまで、ずっと待っていてくれたアルヴィンの優しさに、先ほどとはまったく違う種類の涙が零れる。
 彼にもそれがわかっているのか、今度は動揺したりせずに、優しく指先で拭ってくれた。
「セシリア、愛している。ずっと伝えたかった」

 アルヴィンが愛しい。
 彼と、ずっと一緒に生きたい。
 そう思った途端、ふと身体が熱くなった。
「……っ」
「セシリア?」
 崩れかかったセシリアを、アルヴィンが慌てて支えてくれる。
 不安そうな彼に手を伸ばして、セシリアは微笑んだ。
「大丈夫。心配しないで」
「だが……」
 気分が悪いのではない。
 むしろ、生まれ変わったかのように爽快な気持ちだった。