「……」
 初めての告白に、言ってしまったあとから頬が染まる。
 それでも言葉にしてみると、ずっと悩んでいたことが嘘のようにすっきりとしていた。
 アルヴィンは跪いたまま、呆然とセシリアを見上げていた。
 そうしていると、いつも研ぎ澄まされた美貌がやや幼く見えて、それすらも愛しく思える。
「セシリア、が……。俺を?」
「ええ、そうよ」
 一度自覚してしまえば、落ち着くのも早かった。中身は、前世と今世を合わせて四十五年分の経験があるのだ。
 手を引いてアルヴィンを立たせると、力強く抱きしめられた。
「アルヴィン?」
 いつもの寄り添い合うような抱擁ではない。
 まるで恋人同士が交わすような、情熱的なものだった。
「お前が俺を意識してくれるまで、ずっと待っていたのに。どうしてお前から先に言うんだ……」
「え?」
 今度はセシリアが呆然とする番だった。
「ずっと……?」
 すぐ目の前に、アルヴィンの綺麗な顔がある。
 優しい笑顔は見慣れていた。
 でもこんなに甘く、蕩けるような微笑みは知らない。
 五年間、一度も見たことのないものだった。
 先ほどまでの余裕が、跡形もなく消えていく。