だからそれほど危険な魔法ではないと言う、その言葉を信じていたのだ。
 だが、どれくらい魔力を消費するかわからない魔法を使うことが安全だとは思えない。まして、過去には視力を失ってしまった人が存在している。
「危険かもしれないって、わかっていたのね?」
「ある程度は。だが過去の記録を見て、俺の魔力ならばそれほどの危険はないと認識していた。魔石を用意したのも、念のためだ」
「じゃあどうして、手伝わせてくれないの?」
「それは、この結界を張ることが、セシリアのためだからだ」
 アルヴィンは手を伸ばしてセシリアの頬に触れると、真剣な眼差しでそう言った。
「セシリアの身を守るために、俺が言い出したことだ。もとから多少の危険など覚悟している。お前を奪われてしまうかもしれないと思えば、些細なことだ」
 その言葉から、触れた指先から。
 アルヴィンがセシリアをどれだけ大切に思ってくれているか、伝わるようだった。
「俺を信じて、任せてほしい。必ず成功させてみせる」
「……アルヴィン」
 そう言われてしまえば、もう何も言えなかった。
(でも……)
 セシリアは俯いた。